オーボンヴュータン
オーボンヴュータン
お店のロゴにもなっている洋梨が用いられ、店名が冠されたこちらのスペシャリテ。正直言うとお酒が自分はダメなので一口食べてノックアウトさせられてしまったんだけど、クラシカルで重厚というこのお店の持つスタイルを端的に表したアイテムだと思う。コンポートした洋梨を包み込むように濃厚なクレーム・パティシエールとたっぷり効かせたポワール酒のシロップの組み合わせ。ストーリーのあるこちらのスイーツを食すには食べ手にも人生経験が試されるのかもしれない。
ビスキュイ・フレーズ
作られるのは年に一度だけ。実は存在した!?オーボンヴュータンの苺ショートケーキ。
正統派フランス菓子のみならず文化までもを伝える日本におけるパティスリーの頂点でもあるこちらのお店にも存在していたイチゴショートケーキ。
モンサンクレールの辻口シェフがお店を開くときに「ショートケーキだけは作るなよ」と河田御大に釘を刺されたという逸話を聞いたこともあるけど、日本生まれでフランスに無いものだからフランス菓子にリスペクトを払うお店ほど売り上げには貢献してくれるものの、実は作りたくないと言われるアイテム。クリスマスシーズンのみ本店にしか並ばないので知る人ぞ知る特別なケーキだったりするけど、オーボンヴュータンの作るイチゴショートケーキってどんなだろうと気になる方はぜひ忘れずチェックを。
ブッシュ ド ノエル フランボワーズ
こちらのお店の定番クリスマスケーキをプティガトーで!クリスマスシーズンはホールだけでなくカットケーキもどこのケーキ屋さんでも売れるようになるみたいだけど、オーボンヴュータンでもショーケースにはかわいいサイズの「ブッシュ ド ノエル 」が3種ともお目見え。
バタークリームをメインに、甘酸っぱいフランボワーズのバタークリームとアーモンドの生地の組み合わせ。子供が食べるのも想定しているからだと思うけど、お酒も使わずこちらのお店にしてはクセのないシンプルでかなりクラシカルなテイスト。
ミルフィーユ・オー・フレーズ
あぁ、やっぱこのお店は美味しい!
重厚というか、決して大味ではない上品ながら濃厚な甘みを味わえるのでお酒を使ったのを除いて好みに合ってるんだと思うけど、シュークリームでここのクリームのおいしさはわかっていたので念願のミルフィーユ・オー・フレーズにご対面。
前に行ったときはショーケースに並んでなかったので聞いたら昼頃にはできると言っていたので、昼にいったところようやくの対面。だけど今回はモンブランが売り切れ。ほんと人気のあるとこって午前中に行かないと希望通りの買い物ができない気がする。
それにしてもドア開けて目の前に広がってくる独特のクラシカルな雰囲気って好きな人にはたまらないんだろうなぁ。ミルフィーユってなんか名前だけでもかわいいけど、食べづらいあのフォルムの中にもおいしく食べさせようという技巧が詰まってそうで、濃厚なクリームを飽きさせないパイのサクサク感に不意打ちのように現れるベリーの酸味。このクリームと苺の組み合わさった瞬間はもう言葉を失いそう。 お酒OK!ケーキは甘くて当然!って方は絶対ハマるはず。
焼き菓子も日本一っていうし、パンやら綿菓子、ゼリー、ジェラートやらなに食べてもおいしいって、近所にあったらカロリーとにらめっこでほんと悩ましくなっちゃいそう。
シューパリゴー
すばらしく香りの良いシュークリーム。こちらのは一番難易度が高いと言われるカスタードのみのクリーム仕立て。リキュールが特徴的なのかほどよくお酒を効かせたここのカスタードクリームが大好きで、匂い嗅いだだけでブラインドテストされてもすぐ当てられそう。オーボンだからどっしりしたクリームなのかと思いきや、繊細なクリームになってて、かなり焼きを入れられた厚めのシューとナッツとの対比が楽しめる。 焦げるんじゃ?ってくらい焼きを入れるのはクリームの水気で皮がべちゃっとしないようにするためとか。
シュークリームの特集なんかでよく上位に入っているのを見かけるけど、フランス菓子の頂点なお店だけあってすばらしい逸品。
モンブラン
自分にとってのファーストインパクト。どんなジャンルでもいいものからまず先に吸収したいからケーキの食べ歩きをはじめてすぐにこちらのお店を訪れたけど、「モンブラン」ってこんなにおいしいケーキなんだと衝撃を受け、どのパティスリーに行ってもモンブランに目がいくほどモンブラン好きになるきっかけを与えてくれた。日本における現在の主流となった洋栗のモンブランのスタイルを作り上げたといってもいい原点となる逸品。いまでは450円と大幅に値上げされてしまったものの、こんな逸品がほんの数年前までは350円という信じられない値段で売られていてとんでもないコストパフォーマンスだった。このお店の名前をわかってやってくる客ばかりだろうし、舌の肥えたリピーターも多いからおいしいモノから売れて行ってしまうので、開店後すぐに売り切れてしまう事も多いのでご注意。
栗の風味は控えめながら、超ミルキーなマロンクリームとシャンティー、そして中心部にあるラム酒を効かせたマロンペーストでメリハリを利かせた特徴のあるコントラストに、底に引かれたメレンゲのサクッサクの食感が加わって心地よいアクセントとまさに王道のスタイル。こちらのお店にしてはお酒の効き、甘味が控えめだったのが意外だったけど、フランスの王道的モンブランを味わってみたいならぜひご賞味を。
メレンゲシャンテリー・キャラメル
モンブラン、ミルフィーユなどとならんでオーボンに来たら絶対おさえておくべき知る人ぞ知る逸品。なんといってもこのあふれんばかりに入っているクリームの量!オーボンビュータンのクリームを心ゆくまで味わえるという点だけでも満足度が高い。
苦味を強めに効かせたたっぷりのキャラメルクリーム。クリームに飽きをこさせないようサックサクな食感でほんのり甘めなメレンゲが効果的にアクセント。時折顔を覗かせるナッツの香ばしさも余韻を残す。シンプルだけど、インパクトを残す美味しさというこちらのお店を体現したかのような代表作。
ボロネーズ
フォルムがとても印象に残る、オーボンヴュータンを代表する逸品。食感、テイスト共にこちらのお店が持つスタイルを端的に示してくれる。食感ではサクッっとじゅわっと、互いにコントラストの効いたメレンゲの甘みとラム酒を染みこませた生地の幸せなハーモニーをあじわっていると不意に訪れる香ばしいナッツの苦みのアクセント。名店と呼ばれるお店では、単なる飾りですら重要な意味を持たせてくる。
余韻を味わいつつ食べ勧めていくと底にはカスタードクリームとドライフルーツが現れ鮮烈な印象。また食べたいと思わせる余韻の素晴らしさが長く愛される秘訣なのかも。
マンダリン
謎のケーキ!?「ん?」って感じで目に付いたんだけど、まさかのお値段250円!!スポンジも綺麗にデザインされてて、飾りや細工も凝った感じでなんでこの値段なんだろと不思議なケーキ。なんといってもあのオーボンのケーキで250円とは。
材料が揃わなくてもう作ってないって言われるアイテムもオーボンで何点か経験したことあるんだけど、その日にしか並んでないような一期一会的なアイテムも結構あるのかな。気になって調べてみたらクリスマスにチャリティとして出されていたケーキと同じものっぽい。「ラブケーキプロジェクト」というチャリティで、1ピース足りないホールケーキのうちのその1ピース分の金額を途上国の子どもたちの為に支援しようというもの。
こちらのお店は学びの場でもあるのでたとえ売れ行きの悪い商品でも弟子達に経験を積ませるために敢えて作り続けるのが伝統と聞いたことあるけど、レシピとか活用させていってるのかな。
ショコラと柑橘系の組み合わせは鉄板。マンダリンムースとショコラムースの組み合わせ。コンフィチュールもちょこんと載ってるけど、ピールが忍ばされていて濃厚なショコラに負けない気持ちのいい酸味、爽やかな香りが鼻を突き抜けていく。暑い時期なんかにはぴったりなテイストだけど、こちらのお店は方向性が定まってるだけに振り切れているアイテムは印象に残る。
クープ・オーボンヴュータン
名前が物語るように、オーボンヴュータンの象徴でもある洋梨を用いたクープ。アイスは前にも頂いていたんだけど、おいしかったものの絶品までとは感じなかった印象だったけど、カラメルとのハーモニーで極上のテイストに変化!たぶんこのカラメルも手作りだと思うけどこれがめちゃくちゃおいしい。オーボンがオーボンである所以でもあるけど、一見飾りのような何気ないものでもきちんと意味を持たせてあって、シュガーがまぶしてある綺麗なパイのザクザクした食感が最高すぎる。一つだけ意味合いが読めなかったのが洋梨で、食感はいいんだけどスプーンで切れないほど固くこれで正解なのかな?
パート・ド・フリュイ
もも
キウイ
エキゾチック(青リンゴ、キウイ、オレンジ)
数十種類ショーケースに並べられてるので壮観だけど、ジュエリーのような輝きが美しい。ゼリーとグミの中間のような独特の食感で、酸味もほどよくフルーツの果実感を凝縮したかのようなフルーツ好きにはたまらないテイスト。口の中にじゅわーとフルーツの旨みが広がってくる。グラニュー糖をふんだんにまぶしてあるので甘味も増し、柔らかさにジョリジョリした食感が加わって食べてて楽しい。このお店なら当然手作りだろうし、一個115円というのもいろいろ買えて嬉しいけど、ショコラを見ても明らかなようにこれだけの有名店でありながら全体的に価格を抑えられてるのはフランスの文化を学ぶ学舎として客の側にもいろいろな商品を手に取り味わって欲しいという思いが込められているのかも。
カヌレ・ド・ジロンド
日本一のカヌレとも評される逸品。表面の焼き込みがこちらのお店らしくかなりしっかりと厚みも凄い。釘が打てそうな固さかも。やや焦げ感があるものの、不快さはなく、この表面があってこそもちっとした中身とのコントラストが映えてくる。ラムも薫り高く、バニラのテイストもしっかりあり風味もすばらしい。
キャビネットフリュイルージュ
「赤果実」という名の通り、フランボワーズなど数種のベリーで構成されているオーボンのプリンはこちらのスタイル。蒸し焼き風のプリンで中のベリーが酸味、食感共にすごく美味しいんだけど、カスタードなど、プリンの部分の風味が抑えられてるので全体としてあまり印象に残らない。
アイス三種盛り
日本最高峰のパティスリーの手作りアイス。ケーキのショーケースのすぐ横にあるからいつも味が気になってたけど、フランス流のアイスはなかなか独特。ヴァニラ、エピス、ピスターシュを頼んだけど、ピスターシュはやはりフレッシュな濃厚さでおいしい。まさにパティスリーならではのテイスト。エピスはヴァニラにアクセントとしてシナモンやナツメグ、ジンジャーといったスパイスが入った独特の風味ながらクセになりそうな印象に残る味。ヴァニラはこちらのアイスの神髄というか、すぐに溶けていってしまいそうな舌触りのなめらかさとややもったりした食感。バニラビーンズも舌に感じるほどたっぷりと含まれていて、乳自体の濃厚さはあるけど、アイス自体のコクよりはあっさりとした印象が強い。
クロワッサン
小ぶりなサイズで焼き色の強さがこちらのお店らしく印象的。食べてみると見た目ほどのインパクトは受けないけど、バターの風味も豊かで塩気もほどよくサックサクな食感。焼き色が強いだけあって香ばしさも。かしこまって食べるクロワッサンというよりはコーヒーと共に朝のひとときを豊かにしてくれる存在。
ボストック
ラスクと同じような経緯だけど、売れ残ってしまったブリオッシュを再利用しようとして産み出されたものがこのボストック。お店によってアレンジが違うみたいだけど、「シロップに浸し、アーモンドクリームとスライスアーモンドを載せ、ふんだんに粉糖を振りかける」と、こちらのお店ではやはりクラシカルな作り。見た目からも素朴な印象だけど、予想に反してブリオッシュらしい生地のしっとり感と風味の豊かさにしっかりした甘味が組み合わさって噛めば噛むほどおいしさが広がっていく。