大ダブル全マシ
まるで昭和で時が止まったような店内。薄暗くAMラジオが響く中、客は自分一人。交通量のある街道沿いに面しているため、異様な光景の廃屋の存在を確かめるように幾人かの人々が通り過ぎる度に店内へと視線を落としていく。奥の方で暇を持て余すかのように新聞を読みふけっていた店主に挨拶し調理開始。
最近はいきなり卒検ばっかやってる気もするけど、こちらもなかなか来れないので一番重量のある大ダブルを全マシで。全マシって一度言ってみたかったけど、こちらは注文もコールもややクセがあると事前に調べていたので便利な呪文を今回使うことに。
量は二郎としてはかなり少なめ。豚骨感は乏しく油多めで旨味も少ない、二郎というよりは醤油ラーメンといった方が近い印象。野菜ももやしオンリー。豚は珍しい形をしているもので、味がきちんと染みこんだちゃんと調理された美味しいもの。唐辛子のアクセントがないとちょっとスープが厳しいかなという印象だけど、脂で食べさせるオールド二郎のような味わいのスープで唐辛子との相性がどことなく懐かしく思わせてくれる一杯。
かつての三田本店でのスタイルだったみたいで、支払いも独特の形だったけど、カウンターにお金を置いて、そこに無造作に置かれた小銭の中からおつりを自分で持って行く形。現在の建物の状態がよりそう思わせるのかも知れないけど、どこか心の琴線に触れる栄枯盛衰な時の流れと二郎の歴史を少しだけでも感じることのできた訪問であった。