もりそば
山岸さんが営業中どうしても残る寸胴の中に残る麺を賄いとして工夫して食べていたところ、常連からの「オレも食べてみたい」の一言で世に出ることとなったつけ麺の元祖「もりそば」。もともとこちらのお店は中華そばがウリであったが、その中華そばのスープをベースに、どうしてもつけ麺のスタイルだとつゆが薄まってしまうことから甘酸っぱさを味のアクセントとして加えることで大勝軒の「もりそば」の味は完成した。豚、鳥、魚介など昔ながらに使われている素材で作られた醤油が効いたスープ。訪問前はやや時代遅れな昔ながらのオールドスクールな味を予想していたけど、食べてみたら意外やぼやけた感じのないバランスのよさで、安心できると同時に現在でも通用しうるおいしさだった。現場を離れてはいるものの、スープは必ず山岸さんが毎日味の確認をしているとのこと。
こちらの特徴として麺の量がかなり多い事でも知られ、やわらかすぎる気もするけど、このつけ汁には合っているとも言えるのかな。
つけ麺といえば今では濃厚魚介豚骨が主流で、時代の流れの中こちらのお店もほとんど行列することがなくなったと聞くけど、どこか安心できる昭和のラーメンの味はラーメンマニアがわざわざ出向くような店ではなくなったものの、全国各地で大勝軒の名が受け入れられているようにふらっと立ち寄りたくなる味として今もなお愛されているのが実感できる一杯であった。