特製中華そば
並んでる時から出汁のいい香り。こちらのお店は食材への気配りが半端なくて、出汁には動物系では豚のゲンコツに比内地鶏や大山の地鶏を用い、魚介系では北海道産の昆布、季節によって配合、産地を変える4種類の煮干に亀山の焼節を使用。塩は粟国の塩、タレには2年物極上天然醸造醤油と書ききれないくらい。ついにはすべての食材をコントロールすべく麵も自家製麵へと切り替えた。
スープを飲むのが待ちきれなく、ひとくち口にしてみれば出汁が半端なく効いてて中華そばのイメージを覆すようなパンチのある味。出汁を活かして進化し続けてきた日本ならではのラーメンの真骨頂を感じる。こちらのお店の特徴でもある追い煮干で香りもアクセントに。キレ、コクのある醤油に魚介の出汁がふか~いけど、鶏の旨み、背脂、鶏油の甘みなどもころころと表情を変えるように現れてきて、計算されつくされた調和とバランスの良さ。パツッと食感のいい硬めの麺も結構量がある。
チャーシューはモモとバラ2種類の部位を用いた凝った作りで、素材を活かした味付けで旨みの違いが楽しめる。煮玉子もトロッと手間ひま掛けた仕上がりの良さ。メンマと共に「もりの中華そば」でも感じたネギの効果的なアクセントもあってすべての素材に無駄がなく気配りを感じさせる、素晴らしいオーケストラを聴き終えた後のような充足感。「至高」という言葉がふさわしい印象に残る一杯だった。
豚鴨のつけそば
多賀野といえば出汁が秀逸なイメージだけど、このつけそばは出汁よりも甘みの方が印象に残る。鴨せいろをイメージして仕上げられたものらしく鴨の油と醤油をメインに動物系のスープで深みを出し強めなとうがらしも効果的にアクセント。二枚あるチャーシューはそれぞれ部位が違う物。盛りつけひとつみてもこのお店の目の行き届きぶりが窺える美しさ。スープ割りをお願いすればなんとも上品なスープの締めで余韻が味わえる。